ボクの田んぼは、
それぞれに個性があります。
見わたす限りの広大な水田……ではなくて、ボクの田んぼは、地域のあちこちに、少しずつ点在しています。
ですから作業は非効率ですが、その分、田んぼごとの地力を、個性を楽しむというボクの願った米作りが可能になっています。
どの田んぼが、どんな味を生むかなんて、言葉では表現できませんが、せめて、田んぼの素顔をご紹介。お送りするお米には、どの田んぼで穫れたお米か、ご案内をしていますので、参考にしてください。
坂本横
坂本さんちの横なので、ボクが勝手にそう名付けています。
小さいし、坂本さんちと隣接してて、見た目には地味な存在ですが、1993年から無農薬。
おかげで多様な生き物がいて、雑草もあまり生えず、毎年ホウキのように扇状に美しく広がる苗を育んでくれます。
成吉横
成吉さんちの横なので、ボクが勝手にそう名付けています。
坂本横のすぐ近くで、同様に1993年から無農薬を続けたため、特長はまったく同じです。水の保ちもいいし、雑草も生えにくく、手間がかからないという意味でも、「いい子」です。
本田(ほんでん)
「本田」という地区にある、1993年から無農薬の田んぼ。
土壌は石がやや多めですが、地力が強いらしく、毎年扇形に美しく広がる理想の苗を育ててくれます。
ここは日当たりも、風通しも抜群。シラサギ、アオサギを中心に、なぜか鳥がよく来るのも特長です。
ホウネンエビも多く、自然の生態系がうまく成り立っていると言えるでしょう。
宗高(むなだか)
ボクが手がけるようになって、まだ間もない田んぼだから、まだまだ雑草が生えやすく、草刈りが大変。近くに宅地もあって見た目はイマイチですが、ここはモグラが元気。
モグラが多いということはミミズなども多いいため、生態系はいい感じで成立しているようです。
(モグラは畦に穴を開けるため、漏水防止作業が面倒ですが……)
苗の色はまだ薄めですが、周囲の田んぼに比べると扇状にいい感じで育っており、今後に期待がもてそうです。
東小学校の近くの田んぼ。
小学生の米作り教室で、ボクが指導のお手伝いしている東小学校。
その学校田んぼの隣にあります。
ここも最近手がけるようになったため、まだこれからの田んぼですが、カエルを始め小さな生き物が多く、前任の人の米作りの影響は最小限に抑えられそう。土壌も少し粘土質で、周囲に遮るものがなくて日当たり・風通しは理想的。
後は地力次第で期待が持てそうです。
三角1
畑での使用の後、しばらく休耕地だった土地を、最近ボクが“開墾”しました。
変則的な三角形で作業のしにくい田んぼですが、休耕地だったので農薬等の影響がなく、また育った苗を見ると、地力はなかなかのもの。
水は水路からポンプアップするため、ジャンボタニシがいないのも利点です。
一方で、なぜかヘビが多い。つまりは色んな生き物がいるはずで、これからどんどんいい田んぼになりそうな予感。
三角2
三角1の近くで、ここも元は休耕地。このため農薬等の影響がないのは嬉しいけれど、地元で「新幹線」と呼ぶ、成長が早い雑草が多いのが難点。
新幹線は、もうマメに刈っていくしかありません。
三角1の近くなのに、ヘビに会ったことはなく、土壌は同じだけれど、現段階では地力は少し劣る感じです。
日当たりや風通しは抜群だから、ここも、これから地力を付けていけば大丈夫。
惣右衛門1
ここも手がけて間もない田んぼ。
砂礫系が顕著で、作業がしやすく、水はけや酸素の採り込みに有利な土壌です。
鳥が多く、カエルやヘビもよく見かけ、生き物たちでにぎやか。
水の管理も容易で、昼は温かく、夜は冷たい水を得やすいなど手がけて間もない田んぼのわりには条件が良いせいか、苗がすごく元気です。(れいの扇型に美しく育っています)。
惣右衛門2
惣右衛門1と同時にスタートした田んぼですが、土壌は粘土質と砂礫系の中間。
畦が高いため水を深くしやすく、それによってトロトロ層を作りやすいため水中や土中では、微生物も含め目に見えない生き物が賑やかなことでしょう。
特にここはカエルが多くて大合唱。それを狙ってか、鳥も良くやってきます。
助宗
いつでも水を得やすい山あいで冬水田んぼにチャレンジしたくて、唯一、大井川地区を離れた田んぼ。北に15キロほどの藤枝市の山あいにあります。
冬水田んぼとは、不耕起水田といって、田んぼを起こさず、稲刈りのとき以外は冬でも水を張っておく手法。
そうすることで、イトミミズなどの水生物が生きやすい環境を生み出し、そのフンや死骸が水と一緒になって土をトロトロした層にする。
この土が自然な肥料になるととともに、雑草も抑える、というものです。
山では沢からいつでも水を引くことができ、土壌も粘土層のため、この手法にトライしやすいのです。
山の夜の水は冷たいから昼夜の温度差を付けやすい。
平野以上に様々な生き物がやってくる。周囲が山だから落ち葉も多く、言わば自然な腐葉土みたいな役目をしてくれる、といった利点もあります。
つまり、無農薬・無肥料の米作りには理想の環境と言えるでしょう。
おかげで茎が太く、葉の広がりもまた元気な扇状の苗が順調に育っています。
昨年は、イノシシがやってきて、お米をだいぶ食べられてしまったので、今年は防御柵を設けています、イノシシもまた、無農薬にしたらやってくるようになりました。
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